生きがいを求めて 共に生きる日々

 私がこの仕事を始めたのは40代半ばの頃でした。確たる目的を持たず、困っている人のお手伝いをする程度の浅はかな考えでした。また、知的に障がいを持たれた方は、ご自分の意志も示すことができず、人の手を借り生活するしかないので、私はその人のお世話ができ、役に立てると心のどこかで障がいのある方に対し差別感を持っていたと思います。しかし、現実の障がい者の方々はしっかり表情や態度でご自分の思いを伝えようとしていました。そして、感性が豊かで、良くも悪くも行動がストレートであり、代弁してくれる人がいなかったり伝える方法がわからなかったとして、うまくコミュニケーションが取れず思わぬ形で表現してきますが、いつも自分に素直であり、おひとりおひとりの個性が端々しくて豊かであることを知りました。
 福祉の世界ではノーマライゼーションの思想が高らかに掲げられて久しくなりますが、障がいを持った方々を取り巻く社会はまだまだ未熟と感じることがあります。一部の方のための社会福祉と考えがちですが、疾病であったり、事故であったり私たちはいつどこで障がい者の立場になるかわかりません。誰もがどんな状態であっても「幸せに暮らせる。希望を持って生きていける」そんな世の中になると良いと感じます。
 今、私は60歳を目の前にし「あとどのくらい学園の利用者様と過ごすことができるかな」と考えることがあります。毎日が楽しく穏やかな日ばかりではありません。何年経っても支援の難しさに悩まされることばかりです。しかし、この仕事を通し、利用者様と共に過ごした時間は、私自身の人生を豊かで幸せなものにしてくれました。障がいのある方が、「生まれてきてよかった」と感じていただけるよう、共に歩んでいくことが私の仕事です。

Challenge

チャレンジしていること

福祉の仕事は、気持ちだけで出来るものではありません。日々進歩している直接的・間接的な福祉援助技術や、障がいを持たれている方それぞれの特性を理解し支援できるよう学んで行きたいと思います。

Message

就職活動中の学生へメッセージ

福祉の仕事に良いイメージを持っていない方も多いと思いますが、私の施設には志高くひたむきな若い職員がたくさんいます。決して世の中から離れた特別な場所ではありません。希望に満ちた仕事です。